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三面記事小説



角田光代 『三面記事小説』

「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました。」
誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。
事件記事に触発されて生み出された短編6話。

何年か前に雑誌で紹介されていて気になった1冊、やっと入手読了。
期待通りに面白かった。

実際に新聞の三面記事となった事件をベースに、その舞台裏・詳細はこんな感じじゃないか…と角田さんが考えて書いたフィクション。
話の種が実話だけあって、全体的にリアルで入り込みやすい。

ワイドショーのネタに最適だろうなぁ…と思うような話が続く中、最後の『光の川』はタイプが違って印象的。
母を一人で介護する息子の話。色々と考えさせられた。
本当に親思いで優しくて、だからこそラストは誰も責めることができず、ただただこんな世界が悲しくなって。

世の中、いつ自分が加害者になり被害者になるか分からない。
どの話も自分の身に起きる可能性は十分あると思うなぁ。
もっと色んな雰囲気の三面記事を集めて、是非第2弾3弾とシリーズ化して欲しいところ。 

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真夜中のマーチ


奥田英朗 『真夜中のマーチ』

自称青年実業家のヨコケンは、仕込んだパーティーでミタゾウと出会う。財閥の御曹司かと思いきや、商社の単なるダメ社員だった彼と2人で訳あり現金強奪を目論むが、謎の美女クロチェに邪魔をされる。
それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ10億円を狙い、完全犯罪を目指すが…。

お気に入り作家の1人、奥田さんの作品を。
最近自分が知っている作家さん作品ばかりだなぁ〜と思いつつ、新規開拓することもなく、ハズレなさそうな無難なものにばかり手を出しています。

今回も、奥田さんらしいテンポの良さ。
話が二転三転し、こちらも勢いづいて一気に読んでしまった。
正直、大した中身があるものでは無いし後々の印象には残らなさそうだけど、ハリウッドのアクション映画よろしく読んでる間は楽しめます。
後半あまりに人が入り乱れ、ドタバタ過ぎる気もしたけれど。

馬鹿なのか賢いのか分からないミタゾウのキャラが良かった。
主人公3人が全員25歳、という設定で自分より年下ということが何故だか妙に淋しかった。
こんな大仕事をする気は勿論無いけど、何にもしないまま私はアラサーになってしまったのか…と。

何でもいいから、デカいことをしてやりたい気分になりました。
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明日この手を放しても
 

桂望実 『明日この手を放しても』

19歳で失明し夢を失った凛子。明るい母の死に続き、寡黙ながらも優しい漫画家の父が突然失跡。
残ったのは、自分勝手で文句の多い兄一人。
その日から、一番近くにいて誰より気が合わない2人だけの生活が始まった…。

以前読んだ『Lady,GO』がなかなか良かったので、また桂さんの作品を。
今回もサクサク読めて、色んな出来事がありつつも全体的にポジティブで後味良し。

楽観的でぶっきらぼうな兄、真面目で潔癖な妹。
極端な程に対照的な二人が、親を失い2人で日々を過ごすうちに少しずつ相手への態度が変わり、お互いを助け合うようになる。

置かれた環境次第で、人って変わるんだ。変われるんだ。

ここまでタイプが違う男女なら、カップルであれば別れて終了だろうな。
でも、気が合わなくとも家族の場合は簡単に別れられないから。

いくら家族同士でも、みんなが自分の全てを表に出してるわけじゃない、と思う。
でも、家族同士だからこそ、他の人が気づかない裏側に気づけることもあるのかな、とも思う。

身体的な特徴、癖、よく行くお店…私は自分の家族のことをどれだけ知っているだろう?

思った以上に良い1冊でした。
今年はもっと桂さんの作品を読んでみたいな。
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スローグッドバイ


石田衣良 『スローグッドバイ』

さよならから始まる恋人たちの物語。
失恋して心を閉ざした女の子、コールガールに思いを寄せる男の人…恋する人達をやさしい視点で描いた短編10話。

昨年最後に読んだ1冊。
同じ作家さんが書いた恋愛話だから、どの話も全体的な空気は似てるけど。
ストーリー展開や人間関係、主人公のキャラによって、自分の中ではっきり好き嫌いが分かれました。

あまり惹かれない話は雑に読んでしまったけれど、男の子がコールガールを本気で好きになっちゃう『真珠のコップ』、別れるカップルが最後のデートで思い出の場所を巡る『スローグッドバイ』あたりが良かったな。
感情移入しやす話の方が読んでて楽しい。

若い子も大人の男女も、本当に色んな出会い、付き合い、悩み、別れがあるんだな…って、当たり前のことを改めて感じた。

10パターンあるから、誰が読んでもきっと1つは気に入る話があると思います。
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ピース



樋口有介 『ピース』

埼玉北西の田舎町。元警察官のマスターと寡黙な青年が切り盛りする小さなスナックの周辺で、ひと月に2度もバラバラ殺人事件が発生した。
被害者の身元は判明するが捜査は難航し、3人目の犠牲者が。ベテラン刑事は被害者に共通の特徴を探りだし…。

樋口さんの作品は柚木探偵シリーズしか読んだことがなかったけれど、結局これも同ジャンルのミステリーなので雰囲気は似ていた。
登場人物の相関や若干ハードボイルドな口調が懐かしく。

この手の話は進めば進むほど読むペースがupして止まらなくなる。
が、先が気になりすぎて、後半はちょっと斜め読みしてしまった。
犯人が分かったところで期待したほどの衝撃感は正直無かったなぁ。
全く予想外の犯人ではあったけれど、なんだか無理矢理犯人として結び付けてる気も。
この表紙の意味は読み終えて初めて分かって、なるほどと思った。

うーん樋口さんのミステリーはやっぱり柚木さんシリーズがかっこいいな。

 

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優しい子よ


大崎善生 『優しい子よ』

不治の病に冒されながらも他人の幸せを願いながら逝った少年との交流を描いた「優しい子よ」、名プロデューサーとの交流とその死を見つめた「テレビの虚空」「故郷」、生まれる我が子への思いを綴った「誕生」、の全四篇。

久しぶりに大崎さんの作品を。
って、過去にまだ2作しか読んだことないけど、この人の文章の書き方、表現の仕方が好きで。

4つの短編で構成されているけれど、全て大崎さん自身の回りで連続して起きた出来事なので、まとめて1本のエッセイでもある。
中でも、奥さんの妊娠から出産までを旦那目線で書いた、最後の「誕生」が一番良かった。

最初の3作品はどうも…。
特に表題作、とても良い実話だとは理解してるんだけど、あまりに綺麗素直な話で私には入り込めなかった。
きっと世間の読者大半は感涙するんだろうなぁ…とぼんやり思いつつ、こういうので泣けない自分は歪んでるのかな…とも悩みつつ。

全体的には、期待したものとは違う味でした。
うーん、『パイロットフィッシュ』のような小説をまた読みたいな。
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八日目の蝉


角田光代 『八日目の蝉』

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか。
理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。 
誘拐犯と誘拐された子。2人の女の心に分け入ることで、家族の枠組みの意味を探る…。

思った以上に良かったです。
以前読んだ『空中庭園』が私的にダメで、それ以来この人の作品は避けていたんだけど。
内容が気になって買ってしまい、読み始めたら止まらなくなって、夜ベッドでぐずぐず泣きながら一気に読んで、翌日目が腫れる…という状況に。
こういうハマり方、久しぶり。

傍から事件を一見すれば、そりゃ幼児を誘拐した人が悪い。
でも読み進めるうちに、見つかることに日々怯えながらの逃亡生活を、ハラハラしながら応援してしまって。
これは私だけじゃないかと。
みんな各々に苦しさを抱えていて、上手く誰かを責めることもできず、ただ、やり場のない悔しさや虚しさを内に押し込み、溢れ、ぶつかりながら、進んでいくしかない。
読んでいて、もどかしかった。

親子の関係、家族の線引き、そういうのって考えると難しい。
こんな特殊な場合に限らず、最近は多い離婚や再婚によっても親子や家族の形は変わってくると思うから。
正解も不正解も無いから尚更だ。

これは女の人にお薦めしたいです。
後味悪くなく、内容もなかなか印象深い1冊でした。
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かもめ食堂


群ようこ 『かもめ食堂』

ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主のその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握るおにぎり。
しかしお客は日本おたくの青年ひとり。そんな食堂にミドリとマサコという訳あり気な日本人女性がそれぞれやって来て…。

夏にヘルシンキへ行く前、会社の先輩にこの映画を勧めたら気に入ったそうで、原作小説も買ったというので貸してもらいました。

数時間ですぐ読み終えるボリューム。
映画のシーンや実際に訪れた場所を思い出しながら読んで浸って。
こちらには映画では描かれていない部分もあったりするけど、でもこれは映画の方が断然イイと思う。
あの雰囲気も、ヘルシンキの景色も、食堂での食べ物も、そしてキャラ濃い主役3名様も…。
文字だけでは伝わらない素敵な部分がたくさんあるから。
今回原作を読んだことで映画の良さを改めて感じました。

これから、って人には是非映画から入ることをお薦めします。 
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ショート・トリップ


森絵都 『ショート・トリップ』

“旅”をめぐる超短編48作。

読む本が無くなったので、家の本棚で見つけたこれを拝借。
短編集は通勤電車や隙間の時間を埋めるのにちょうど良い。
特にこれは1話3ページくらいの短さで、中学生新聞に連載されていたものを集めた形なので内容も簡単。
がしかし、対象年齢が低いからか、超短編だからか、読み終えた後なんだか物足りなく感じてしまったなぁ。

旅をテーマにこれだけ色んな話が書けるのはすごいと思う。
今まで自分が訪れた土地を思い出して、ストーリーと重ね合わせながら読めたのは面白かった。

48話あるので、誰が読んでも1つくらい気にいるものがあるかと。
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宇宙のみなしご
 

森絵都 『宇宙のみなしご』

中学生の仲良し姉弟である陽子とリン。両親が仕事で忙しく、いつも2人で自己流の遊びを見つけてきた。
新しく見つけた遊びは、夜中に近所の家の屋根にのぼること。やがて、その遊びに思いがけず新しい仲間が加わって…。
第33回野間児童文芸新人賞第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞

受賞内容を見ても、実際読んでみても…これってやっぱり児童文学かな。
結構短くて、内容もすごく分かりやすい1冊。
学校での対人関係に悩む姿に、なんだか上から目線で中学生らしいなぁ、可愛いなぁ、頑張ってるなぁ、懐かしいなぁと感じてしまった。
主人公たちと同年代であればきっと見方が違った。
社会人になって、決してみんなと仲が悪くなったわけじゃないけど、次第に付き合う友達が限られてきて。
一人でラーメン屋へ行けるようにもなってしまったけれど、やっぱり支え合える友達って大切だ。

誰だって、一番しんどい時は一人で切り抜けるしかない。
でも、一人でやってかなきゃいけないからこそ、手を繋ぎ合える友達が必要なんだよ。
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